幼児教育の無料化はできるのか
幼児教育は、日本の場合義務教育化されていないために、無料で受けられるものにはなっていません。つまり、小学校に入学する前の幼児教育で収入格差が生じているわけで、これも大きな意味での少子化対策としてとりあげられています。
骨格として、3歳から5歳の幼児教育の無料化などが上がっていますが、まだ議論の段階で、しかも内容や目的もはっきりしていません。幼児教育を無料にするといっても、どういうことをするのか、例えば幼稚園や保育園の費用を補助したり負担したりするとか、教材の提供とか、あるいは教育体制を問題にするのか、五里霧中です。
しかも、そもそも幼児教育とは何かということすら、決まっていません。いや、現時点でも幼児教育自体は行われていますし、教材や教育方式などもありますが、それはすべて現場レベルで全国で統一されていないわけです。
大体、保育園や幼稚園にすべての幼児が通っているわけではありませんし、それを無料化したりしたら今度は通っているかどうかで格差が生じてしまいます。また、幼児教育というのがどのレベルを指すのか、例えば3歳くらいの幼児では預かって遊ばせているのか幼児教育しているのかよく判らないことも多いわけで、その辺りからの議論が必要です。
それに、幼児教育ばかりを問題にしていますが、むしろその年齢では教育よりは育児が大切です。それも幼児教育だと言えば言えないこともありませんが、やはり人間としての生活を教えるのは教育と言い切ってしまってよいのかどうか。それを無料にするということは、幼稚園などの費用全体を社会で払うことになりかねません。
そんなことをしたら、最終的にはいわゆるソビエト式の「子供の教育は国家が行う」といった共産主義社会になってしまう可能性があります。その方法がうまくいかないのは、歴史で証明されていますし、大体幼児段階だけそんなことをしたら、では義務教育はどうなのかという議論になりそうです。
そして、一番の問題は幼児教育を無料化しても、格差はなくならないということです。基本的な幼児教育は平等に受けられるようになるかもしれませんが、すぐにより高価で効率的。効果的な幼児教育オプションが売りに出されて、収入が多い家庭の幼児はそれを受けることになるでしょう。義務教育ですら、今やお金持ちの子供は私立小中学校へ行く時代です。そしてその分、公立学校のレベルは下がっていると言われています。
ナニのための幼児教育の無料化なのか、まずそこから議論しないといけないでしょう。
